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(5)物流拠点における地域との共生への取組
物流拠点周辺の市街地化が進み、市民の環境問題への関心がますます高まるなか、物流拠点と地域住民との共生は重大な問題として認識されている。
その様な中、市街地に整備されていた物流拠点を郊外に移転した事業者や、公的な物流拠点を郊外に整備し、都心部に立地する事業者の集約化を図ることにより、都市部の交通環境の改善に寄与した例が見られた。

 

[先進事例:F社]
○早朝の搬入待ちの車から生じるエンジン音が問題になったため、施設の開門時間を早めた。
○取扱貨物のピーク時(長期休暇明けが多い)には、搬入車による周辺道路の混雑がひどくなり、警察からも苦情が来ている。そのため特定の物流部門は郊外の工場で対応している。

 

(6)物流拠点におけるアクセス利便性の重要性
物流拠点整備にあたっては、消費地や荷主との高いアクセス利便性が極めて重視されることが事例調査でも指摘された。
その様な中、物流拠点のゲートの配置を変更することにより、施設への搬入時のトラックの滞留を緩和した例や、物流拠点の機能強化に併せてアクセス道路の整備や周辺の地域開発が進められた例が見られた。

 

[先進事例:G自治体]
○背後に高速道路が部分供用されており、将来的には物流拠点に近接してICが供用される予定がある。これにより、トラックによる広域的なアクセス性がさらに向上し、陸上輸送に優れた港湾整備が実現される。
○併せて、港湾の背後地で土地区画整理事業の計画があり、流通業務地区、工業地区の整備が予定されている

 

(7)物流拠点の機能強化に向けての取組
事例調査からは、既存の施設をリニューアルによって、機能の充実を図っていく必要性が指摘された。
その際には、資金的な問題がテナント料の上昇につながる点や、新たな用地を確保することが困難である点が問題点として指摘されたが、新規事業に必要な用地を既存施設の高度利用を進めることによって確保した例も見られた。
[先進事例:H組合]
○将来の事業展開に必要となる用地を通勤用の駐車場の高度化を図ることにより確保した。

 

 

 

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